こんにちは、Kotaro(@kotaro_05110713)です。
産業財産権である特許権・実用新案権・意匠権・商標権は、知的財産権の中でも特に重要な権利と言えます。
いずれも出願によって、事が上手く運べば登録を経たのち、権利が生じます。
しかし、同日出願された案件に関して、上記4つで手続きの進め方が異なっており、以下となっています。
特許権 | 当事者間の協議 但し、不成立の場合は誰も登録できない |
実用新案権 | 誰も登録できない |
意匠権 | 当事者間の協議 但し、不成立の場合は誰も登録できない |
商標権 | 当事者間の協議 但し、不成立の場合はくじ引き |
弁理士の方など、専門知識を持ち合わせた方なら言わずもがなかもしれませんが、診断士にとっては、
何故に商標権だけくじ引きなんだ??
と疑問が生じるかと思います。(四の五の言わず暗記しろよ)
理由(というか、考え方・イメージ)
法律的な事は診断士業務では深く理解する必要はない(できない)ので、ここではイメージを記載しておきます。(大体合っているはずです。)
まず、これらの権利は先願権というもので守られており、先に出願した案件が優先されますことはご存知のとおりです。
特許権・意匠権
特許権や意匠権は、それらを具体化する上で結構な投資がされていることが多く、協議不成立の結果、誰も登録できないとなると、それらの投資が無駄になってしまいます。
つまり、「誰も登録できない」という足かせを課すことで、逆に協議を成立させようという意図があるのです。
協議例として、例えば、一方を取下げ、他方を共同出願とする形態をとることで両者の利益を確保します。
また、同日にされた2以上の特許出願が協議不成立により拒絶されたときには、拒絶査定・審決が確定した特許出願に先願権が生じることになり、不成立後に同じ内容で再度出願を行ったとしても、後願の出願となり、そもそも無効となるようです。
商標権
一方、商標権は出願の時点ではそこまでの投資がされている事が少なく、くじ引きによって、権利が認められなかった方の経済的損失も少ないと考えられます。
さらに、商標出願では「放棄され取り下げられ若しくは却下されたとき、又は商標登録出願について査定若しくは審決が確定したとき」には、その出願が初めからなかったものとみなされるため、不成立後に同じ内容で再度出願を行えば、再び先願権を得てしまうことも、くじ引きをさせている要因のひとつと考えられます。
実用新案権
実用新案権はそもそも無審査主義ですので、同日出願は誰も登録できなくなるのはイメージが湧くかと思います。
参考
国立研究開発法人科学技術振興機構 情報管理(2008、Vol.51 no.8)
今岡憲特許事務所 特許出願の要件/先願主義・先願権
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